部活動やスポーツクラブに所属するお子さんが「膝が痛い」と訴える場合、それは「オスグッド病」が原因かもしれません。
成長期の子どもに多いオスグッド病は、早めに対処することで痛みをやわらげられる可能性があります。
この記事では、成長期のお子さんに多い「オスグッド病」の原因や症状、見分け方を解説します。
目次
■オスグッド病とは?成長痛とは何が違うの?
オスグッド病(正式名称はオスグッド・シュラッター病)とは、成長期のお子さんが膝関節を使いすぎることで起こる軟骨の病気です。
成長痛とは異なり、オスグッド病は膝の使いすぎによる炎症が原因です。
オスグッド病は片足だけに起こることが多いですが、稀に両足に起こる場合もあります。
痛みからスポーツのパフォーマンスに影響が出るほか、悪化すると歩きや階段昇降などの日常生活にも支障が出る場合があるため、早めに治療を受けることが大切です。
■オスグッド病の症状
オスグッド病では、以下のような症状や特徴が見られる場合があります。
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膝の痛み
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膝の腫れ
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膝の圧痛
膝の皿の下あたりに痛みや腫れ、熱っぽさがある場合、オスグッド病の症状が出現している可能性があります。
膝の痛みは安静にしている間は落ち着き、運動すると強くなる場合が多いです。
また、押したときに圧痛(あっつう)を感じる場合もあります。
オスグッド病が悪化した場合、膝の腫れや変形は成長期が終わっても残る場合があります。
正座するのが難しくなったり、将来的に見た目が気になったりする方もいるため、発症や悪化を予防することが大切です。
※参照:日本整形外科学会/オスグッド病
■オスグッド病の原因
成長期のやわらかい軟骨は、激しい運動を繰り返すと、付着している筋肉や腱に引っ張られてしまい、剥がされるような形になります。
オスグッド病では、膝の皿の下にある「脛骨粗面(けいこつそめん)」の軟骨が、太ももの筋肉と腱によって引っ張られ、徐々に腫れと痛みを起こすようになるのです。
脛骨粗面に付着している「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」は、主に膝を伸ばすのに使われる筋肉であり、走ったり飛んだりする際に多く使われます。
バスケットボールやサッカー、バレーボールなど、膝の運動量が多いスポーツをしているお子さんは、オスグッド病を発症しやすくなるでしょう。
■オスグッド病の見分け方
成長期に膝の痛みを感じる病気はオスグッド病だけではないため、どの病気か見分けるのが難しい場合もあります。
「ジャンパー膝」などほかの膝の病気と見分けるには、以下の特徴があるかチェックします。
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脛骨粗面が飛び出しているか
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スポーツ時に脛骨粗面に痛みが出るか
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X線画像で脛骨粗面が剥離しているか
オスグッド病とほかの病気を見分けるときには、痛みや腫れが生じる場所が「脛骨粗面」かどうかが重要なポイントとなります。
たとえば、ジャンパー膝の場合は脛骨粗面の変形は伴わず、痛みも骨ではなく腱に出るのが特徴です。
骨や筋肉、腱など、身体の構造について詳しくない方は見分けるのが難しい場合があるため、心配なときは整形外科で検査を受けましょう。
専門医による視診や触診、X線画像検査などを受ければ、膝の痛みの正体がオスグッド病かをすみやかに見分けられます。
■オスグッド病の治療法
整形外科では、オスグッド病に対し以下のような治療を行っていきます。
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安静
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リハビリテーション
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テーピングやサポーターの使用
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注射や手術
オスグッド病は運動のしすぎで起こるため、症状が見られた場合は安静にするよう指示します。
運動量を落として経過を見る場合もありますが、痛みが落ち着くまでスポーツを中止するのも大切です。
また、安静中はリハビリテーション(以下リハビリ)でストレッチやケアを行うのも治療法の1つです。大腿四頭筋の柔軟性を高めるストレッチや、炎症を抑えるための「アイシング」の指導を受ければ、オスグッド病を早期に改善するのに役立つでしょう。
さらに、脛骨粗面の突出を抑え、痛みを緩和する目的でテーピングやサポーターを使用する場合もあります。
それでも痛みが落ち着かなければ、医師の判断で痛み止めの注射や手術を検討する場合があります。
■オスグッド病は予防するのが重要
オスグッド病になるとスポーツに影響が出るだけでなく、登下校中に歩くのがつらくなったり、学校や家の階段昇降が苦痛に感じたりするようになります。
そのため、発症してから治療するのではなく、脛骨粗面に負担がかからないよう予防するのが重要です。
オスグッド病を予防するには、ストレッチやアイシングなどのケアを習慣づけることが重要です。しかし、運動して疲れていたり、ケアをするのが面倒に感じてしまったりなど、自宅では思うようにいかない場合もあるでしょう。
そのような方は、整形外科でリハビリを受けるのがおすすめです。
理学療法士からストレッチや運動療法、物理療法などを受けることで、オスグッド病を効率よく予防できるでしょう。
一人ひとりの状態に合うストレッチ方法やアドバイスなども受けられるため、予防方法に困った場合は整形外科でリハビリを受けましょう。
※すでに痛みがある場合は無理にストレッチをせず、専門家の指導のもとで行いましょう。
■オスグッド病は早めに整形外科へ相談しましょう
オスグッド病は、スポーツに携わるお子さんにとって身近な病気の1つです。
身近な病気のひとつではありますが、悪化すると痛みや腫れが強くなるため、おかしいな?と感じたら早めに整形外科へご相談ください。
『ささき整形外科クリニック』では、オスグッド病の検査や治療、予防方法のアドバイスなどの相談を受け付けています。
お子さんの膝の痛みにお悩みの場合は、ぜひお早めに当院へご相談ください。