中学生の息子が『膝が痛い』と訴える理由、成長期の部活怪我を解説|太子町・網干・たつの市方面の整形外科・リハビリ|ささき整形外科クリニック

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中学生の息子が『膝が痛い』と訴える理由、成長期の部活怪我を解説

中学生の息子が『膝が痛い』と訴える理由、成長期の部活怪我を解説

「膝が痛い」と言い出した息子、様子を見ていいのか迷ったら


週6日のバスケット部の練習、来月は市の大会。そんな時期に「膝が痛い」と言う回数が増えてくると、休ませるべきか見守るべきか判断に迷いますよね。成長期の膝の痛みには、骨と筋肉・腱の伸び方のずれという背景があります。この記事では、中学生・高校生の部活動で痛みや怪我が起こりやすい理由、オスグッド病や骨挫傷・疲労骨折といった代表的な症状の特徴、そして受診を検討したいサインの見きわめ方を整形外科の視点で整理します。


この記事の要点まとめ


  • 成長期の骨と筋肉の発達差や運動の負荷により、膝の違和感が生じやすくなります。
  • 押すと響く痛みや腫れ、歩き方の変化が続く場合は専門医への相談が目安となります。
  • 本人の気持ちに寄り添いつつ、柔軟性の維持や十分な休養を整えることが大切です。

なぜ中学生・高校生は部活動で膝の痛みや怪我が多いのか


中高生の部活動で痛みの相談が多いのは、単に練習量が多いからだけではありません。体が大きく変わる途中だという、この年代特有の事情が重なります。


骨の成長スピードと筋肉・腱の発達がずれる仕組み


成長期の骨の端には「骨端線(成長線)」と呼ばれる軟骨層があり、ここで骨が縦に伸びていきます。身長が急に伸びる時期は骨が先に長くなり、そこに付いている筋肉や腱の柔軟性が追いつきません。結果として、骨と腱のつなぎ目が常に引っ張られた状態になります。


つまり、同じ練習量でも「骨が伸びている最中」は腱の付着部にかかるストレスが大きくなりやすいということ。骨端線周辺の軟骨は成熟した骨より力学的に弱く、繰り返しの牽引や圧迫の影響を受けやすい構造をしています。


中学生と高校生で好発しやすい部位の違い


中学生は骨端線が開いている時期にあたり、膝下の脛骨粗面やかかとの踵骨、腰椎の後方部分といった「成長軟骨のある場所」に症状が出やすい傾向があります。腰椎分離症が中学生に多いのも、同じ背景です。


一方、高校生になると骨の成熟が進み、骨端線に代わって筋肉・腱そのものや半月板・靱帯といった軟部組織、あるいは骨の内部に負荷が向かいやすくなります。同じ「膝の痛み」でも、年代によって想定する状態が変わってきます。


跳躍や切り返しの多い競技で膝に負担がかかる理由


バスケットボールは、ジャンプの着地、急停止、方向転換が短時間に何度も繰り返される競技です。着地時には体重の数倍の力が膝に加わり、その力を太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)から膝蓋腱を通じて受け止めます。


床が硬い体育館、すり減ったシューズ、疲労によるフォームの崩れが重なると、同じ場所に負荷が集中します。ランダム化比較試験のまとめでは、筋力や神経筋の協調性を高める運動が、使いすぎ(オーバーユース)による障害の発生を減らす方向に働くと報告されています3。裏を返せば、そうした準備が不足したまま練習量だけが増える状況は、負担が偏りやすいということでもあります。


息子の膝の痛みはどのタイプか、代表的な成長期のスポーツ障害

息子の膝の痛みはどのタイプか、代表的な成長期のスポーツ障害

「膝が痛い」という訴えの中身は一つではありません。痛む場所、痛むタイミング、腫れの有無で想定される状態が変わります。診断には画像検査が必要ですが、ご家庭で状況を整理しておくと診察がスムーズになります。


オスグッド病、膝下の骨が出っ張って痛む仕組み


お皿の下、指で押すと硬く出っ張っている部分が脛骨粗面です。ここに膝蓋腱が付いており、ジャンプやダッシュのたびに引っ張られます。成長軟骨が残っている時期にこの牽引が繰り返されると、付着部に炎症が起こり、骨が隆起して見えることがあります。これがオスグッド・シュラッター病(オスグッド病)です。


特徴は「押すと同じ一点が痛む」「正座やしゃがみ込みがつらい」「運動中や直後に痛みが強まる」という点。左右を見比べて出っ張りの差があるかどうかも、状況を伝える手がかりになります。


骨挫傷とは何か、歩ける場合と控えたい場合の違い


骨挫傷は、骨折のように骨の連続性が断たれるわけではないものの、骨の内部(骨髄)に微細な損傷や出血・浮腫が生じた状態を指します。強い着地や衝突、捻りのあとに起こりやすく、レントゲンでは写らないことが多いためMRIで確認します。


歩けるかどうかは重症度の一部しか反映しません。実際、骨挫傷でも歩行自体は可能なケースがあります。ただし、体重をかけたときに深いところで響く痛み、膝の腫れ、曲げ伸ばしの制限があるなら、歩けていても運動量を落として確認を受けるのが無難です。自己判断で「歩けるから軽い」と決めてしまわないほうが安心できます。


疲労骨折の初期症状と見逃しやすいポイント


疲労骨折は、一度の大きな力ではなく小さな負荷の蓄積で骨にひびが入っていく状態です。進行の仕方に段階があり、最初は運動中だけ痛み、休むと消える。次に運動の序盤から痛み、日常の歩行でも違和感が残る。さらに進むと安静時や夜間にも痛みを感じるようになります。


初期はレントゲンで変化が捉えにくく、筋肉痛や成長痛と受け取られることがあります。押すと骨の上の限られた範囲だけが痛む「点の痛み」が2週間以上続く場合は、画像検査で確認しておきたい状況です。膝周囲では大腿骨や脛骨、膝のお皿(膝蓋骨)にも起こり得ます。


様子を見てよいか、早めに受診すべきかを判断する基準


家庭で完全に見分けることは難しいものですが、目安を持っておくと「今日は休ませる」「明日相談する」という判断がしやすくなります。


自宅で様子を見てよいケースの目安


次のような状態であれば、数日は練習量を調整しながら様子を見る選択もあります。


  • 練習の後半や直後だけ軽く痛み、翌朝には気にならない
  • 腫れ、熱っぽさ、皮膚の色の変化がない
  • 歩き方やしゃがむ動作がふだんと変わらない
  • 痛む場所が日によって移り、押しても一点に定まらない

この間は、練習後のアイシングを15分程度、入浴後に太もも前後のストレッチ、そして痛みの出た日と強さをメモしておくと、あとから経過を伝えやすくなります。


早めに整形外科への受診を検討したいサイン


一方、下のような様子が見られる場合は、早めに相談しておく方が安心です。


  • 膝が腫れている、触ると熱い、水が溜まった感じがある
  • じっとしていても痛む、夜に痛くて目が覚める
  • 足を引きずる、かばう歩き方(跛行)になっている
  • 押すと骨の上の一点だけが強く痛む
  • 膝が完全に伸びない・曲がらない、引っかかる感じがある
  • 一瞬ガクッと力が抜ける感覚がある
  • 2週間以上、痛みが軽くならない

特に「安静時の痛み」と「跛行」は、負荷を減らす必要があるかどうかを判断するうえで重視される所見です。大会前で迷う場面ほど、練習を止めるかどうかを含めて医師と相談した方が、その後の計画を立てやすくなります。


痛みを我慢して練習を続けた場合に生じ得る影響


痛みは体が出している負荷のサインです。それを押して続けると、炎症が落ち着くまでの期間が長引き、結果的に競技から離れる時間が延びてしまうことがあります。オスグッド病では骨の隆起が残って正座がしにくくなる例、腰椎分離症では骨がつながらないまま経過する例が知られています。


また、痛い側をかばう動きが癖になると、反対側の膝や腰、足首に負担が移ることも。「今の大会」と「これから続く競技生活」の両方を視野に入れて、早めに状態を確認しておく判断が結果として近道になる場合があります3


レギュラー争いで痛みを隠す子どもへの向き合い方


膝の状態と同じくらい難しいのが、本人の気持ちの扱いです。「まだやれる」と言う子どもと、休ませたい親。ここがかみ合わないと、痛みの報告そのものが減っていきます。


「休みたくない」という気持ちの背景にあるもの


中学2年生ぐらいになると、レギュラーの選考、先輩後輩の関係、チームに迷惑をかけたくないという思いが本人の中で大きな比重を占めます。「休んだらポジションを取られる」「自分だけ抜けるのは気まずい」——そう感じていると、痛みを軽く言い直したり、家では黙っていたりすることがあります。


診察の場でも、親御さんの前では「大丈夫」と言っていた子が、二人で話すと「ダッシュのときだけ痛い」と具体的に話してくれることは珍しくありません。隠しているのではなく、休むことのコストを本人なりに計算しているのです。


家庭での声かけと指導者への伝え方の工夫


「痛いなら休みなさい」と結論から入ると、本人は反発しがちです。「やめる・やめない」ではなく「どうすれば大会に間に合うか」という枠組みで話すと、子どもも状態を話しやすくなります。


聞き方も、「痛い?」ではなく「どの動きで痛い?」「10のうちいくつ?」と具体的にすると答えが返ってきます。指導者へ伝えるときは、「しばらく休ませてください」よりも「医師からジャンプ動作を2週間控えるよう説明がありました。走り込みは可能だそうです」と、できることとできないことをセットで共有する形が現場では通りやすい。診察時に受けた説明を書き留めておくと、そのまま伝達に使えます。


練習を休む期間にできる代替トレーニング


患部を休ませることは、何もしないことと同じではありません。膝への衝撃を避けながら取り組める内容はあります。


  • 体幹(腹部・背部)の保持トレーニング
  • 上半身の筋力トレーニングやパス練習
  • 股関節周囲やハムストリングスの柔軟性づくり
  • 痛みが出ない範囲での自転車エルゴメーターなど
  • 試合映像を見て戦術を確認する、審判のルールを学ぶ

練習に参加できない期間は本人にとってつらい時間ですが、この時期に柔軟性や体幹を整えておくことが、復帰後の負担の偏りを減らす土台になります。何をどこまで行えるかは状態によって変わるため、担当の理学療法士や医師に確認したうえで進めてください。


怪我を防ぐための日常のケアと予防運動

怪我を防ぐための日常のケアと予防運動

練習量をゼロにできないからこそ、前後のケアと生活面の整え方が効いてきます。


練習前後に取り入れたい体の動かし方


座ったままの静的なストレッチだけで練習に入るより、体を動かしながら関節の可動域を広げる準備運動(ダイナミックな動きを含むウォーミングアップ)を組み込む形が、子どもや青少年のスポーツ外傷の発生を減らす方向に働くと報告されています2。足首に関しても、バランス訓練や神経筋トレーニングを複数組み合わせた予防プログラムの検討が進んでいます1


実際に取り入れやすいのは、ジョギングから始めて、股関節を大きく回す動き、片脚立ちでのバランス保持、スクワット動作でのフォーム確認といった流れ。練習後は、太もも前面・裏面とふくらはぎを伸ばすクーリングダウンと、痛みのある部位のアイシングを。予防運動は「やった日だけ」より、継続して習慣になっているかどうかが差になります3


成長期の体づくりを支える食事と休息の工夫


骨が伸びている時期は、エネルギーとカルシウム・たんぱく質・ビタミンDの需要が高まります。牛乳や小魚、大豆製品、卵、肉・魚を毎食に散らす形が現実的でしょう。練習量に対して食事量が足りていないと、疲労の抜けにくさにつながります。


睡眠も見落とされがちです。中学生で8〜9時間前後を目安に、就寝前のスマートフォンの時間を区切るだけでも寝つきは変わります。スポーツ庁の部活動の方針では週2日程度の休養日、平日の活動は2時間程度が目安として示されています。週6日の練習が続いているなら、家庭で一日は完全休養にあてる調整も検討してみてください。


姫路市周辺で膝の状態を確認できる整形外科の選び方


成長期の膝は、レントゲンだけでは判断が難しい場面があります。骨挫傷や初期の疲労骨折、軟骨・半月板の状態を見るにはMRIが役立ち、超音波診断装置(エコー)は腱の付着部の炎症を確認するのに向いています。レントゲンや超音波診断装置に加え、開口部が広く閉塞感の少ないオープン型MRIや、DEXA方式の骨密度測定装置を備えた医療機関もあり、精密な検査をもとにした診断が受けられます。


通いやすさも、部活と両立するうえで見ておきたい点です。予約優先制や土曜診療を行っている医療機関であれば、平日の練習後や週末に合わせた受診がしやすくなります。理学療法士や柔道整復師が在籍し、医師の診断にもとづいて一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションを担当する体制のところもあります。


なお、治療の多くは公的医療保険の範囲で行われますが、再生医療などの一部は自由診療にあたり、その場合の費用は一般的な目安として数万円から数十万円程度と幅があります。これは一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関によって異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。自由診療には保険診療とは異なるリスクや、腫れ・痛みといった副作用が生じる可能性もあるため、適応を含めて診察時にご確認ください。


膝の痛みが2週間以上続いている、あるいは大会までにどこまで練習できるか判断に迷っているなら、痛みの出る動作と経過をメモにして持ち込むところから始めてみてください。


よくある質問


Q. 成長痛と部活による膝の痛みは、家庭で区別できますか?


A. いわゆる成長痛は夕方から夜に出て場所が移りやすく、朝には落ち着いているのが一般的です。対して、押すと毎回同じ一点が痛む、運動中に強まる、腫れや熱感があるといった場合は、負荷による障害を想定して確認しておく方が安心です。判断が難しい場合は、痛む場所と時間帯をメモして相談してください。


Q. 骨挫傷でも歩けることはありますか?リハビリはどう進みますか?


A. 骨挫傷は骨の内部の微細な損傷で、歩行が可能なケースもあります。ただし歩けることが軽症の証明にはなりません。一般的には痛みに応じて負荷を調整しながら、関節の動く範囲を保つ運動、筋力づくり、競技動作の確認へと段階的に進めていく流れがとられます。期間や内容は状態によって異なるため、画像所見をもとに個別に計画します。


Q. 膝の力が一瞬抜ける感覚があると言うのですが、どう考えればよいですか?


A. 膝が瞬間的に崩れる感覚は、痛みによる反射的な脱力のほか、関節の安定性や半月板の状態が関係している場合もあります。転倒につながることもあるため、繰り返すようなら運動を控えて整形外科で確認することをおすすめします。


Q. 腰椎分離症の治療で身長の伸びに影響はありませんか?


A. 腰椎分離症は腰椎後方の疲労骨折にあたる状態で、コルセットによる固定や運動の制限が中心になります。これらが身長の伸びを止めるものではありません。気になる点は診察時に遠慮なくお尋ねください。


Q. 部活中の怪我で使える公的な制度はありますか?


A. 学校の管理下で起きた負傷については、日本スポーツ振興センターの災害共済給付の対象となる場合があります。申請は学校を通じて行うのが基本で、医療機関で所定の証明書に記入を受ける流れです。まずは顧問の先生や学校の事務にご確認ください。


参考文献


1. Berkey R, Sunesara A, Allen L, et al. Ankle Injury Prevention Programs for Youth Sports: A Systematic Review and Meta-analysis. Sports Health. 2024. PMID: 38406839 / DOI: 10.1177/19417381241231588

2. Ding L, Luo J, Smith DM, et al. Effectiveness of Warm-Up Intervention Programs to Prevent Sports Injuries among Children and Adolescents: A Systematic Review and Meta-Analysis. Int J Environ Res Public Health. 2022. PMID: 35627873 / DOI: 10.3390/ijerph19106336

3. Lauersen JB, Bertelsen DM, Andersen LB. The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: a systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. Br J Sports Med. 2014. PMID: 24100287 / DOI: 10.1136/bjsports-2013-092538


佐々木 剛

医師


ささき整形外科クリニック

院長

佐々木 剛

▶ 監修者プロフィール

経歴
医療法人 三栄会ツカザキ病院 整形外科
とくなが病院 整形外科
医療法人 聖医会佐用中央病院 整形外科
岡山大学病院 整形外科
医療法人 淳和会長谷川紀念病院 整形外科
美作市立 大原病院 整形外科
資格・所属学会
【所属学会】
日本整形外科学会
日本整形外科超音波学会
【資格】
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
日本体育協会公認スポーツドクター